粉瘤(別名アテローム・表皮嚢腫)とは
粉瘤(アテローム、表皮嚢腫とも呼ばれます)は、皮膚の下にできる良性のしこりで、毛穴の閉塞や感染によって発生します。 皮膚の下に形成される袋状の毛根のできもので、その中には角質や皮脂がたまった状態をいいます。良性で、痛みや不快感がないことが多いですが、感染すると痛みや腫れを伴うことがあります。粉瘤は顔、首、背中など、皮脂腺の多い部位に発生しやすいです。
粉瘤の症状
無症状のしこり
粉瘤は初期段階では無症状のことが多く、触っても痛みを感じない場合があります。
しこりの成長
時間が経つと、しこりが徐々に大きくなり、目立つようになります。
しこりの感染
しこりが感染すると、痛みや腫れ、発赤が現れ、しこりから膿が出ることもあります。
不快感
大きくなった粉瘤は不快感を引き起こし、衣服や動作に影響を与えることがあります。
複数のしこりの発生
一部の人は、複数の粉瘤が同時に発生することがあります。
粉瘤の原因
原因①:皮膚の閉塞
皮膚の毛穴や皮脂腺が詰まることが主な原因です。
原因②:皮脂の過剰分泌
過剰な皮脂の分泌が粉瘤の形成を促進します。
原因③:遺伝的要因
遺伝的に粉瘤ができやすい体質の人もいます。
原因④:皮膚の損傷
傷や摩擦が原因で皮膚が閉塞し、粉瘤が形成されることがあります。
原因⑤:感染症
粉瘤に感染がおこり、痛みを伴って、急激に大きくなることがあります。 体調管理をおこない、免疫力を高めると、粉瘤の感染が収まることがあります。
粉瘤の治療方法
経過観察
無症状の小さな粉瘤は、経過観察のみで問題ない場合があります。
抗生物質の服用
感染した粉瘤には、抗生物質の処方が行われることがあります。 抗生物質の効果があれば小さくなります。効果がなければ大きくなったりする可能性があります。また、感染が悪化して痛みが増したり、表皮嚢腫の大きさが大きくなったりする場合もあります。
切開排膿
膿が溜まっている場合、切開して排膿することがあります。 注射による局所麻酔を行い、皮膚に穴をあけて、垢や膿を排膿します。 1週間ごとの通院が必要です。1か月くらいで穴がふさがります。 垢や膿を出してしまうので、炎症がおさまり縮小する可能性が高くなります。 嚢胞壁は残存したままですので、炎症がおさまった数か月後に嚢胞壁の摘出手術をおこないます。
切除摘出術
粉瘤全体を手術で取り除きます。 注射の局所麻酔を行い、粉瘤を袋ごと摘出します。細いナイロン糸や吸収糸で縫合をします。約1~2週間後に抜糸を行います。手術は通常15分から1時間程度で終了します。 〇穴摘出法・へそくりぬき法
手術後の注意点
・切開排膿や摘出の場合、傷跡は多少残ります。 ・手術後の傷跡は、時間が経つと、ニキビ跡や細いシワのようになります。 ・ドッグイアーと呼んでいる凸凹が残ることがあります。 ・傷跡の手入れとして、テープ固定等を1~6ヶ月間行うと、かなり目立たなくなります。 ・粉瘤が大きい場合は、術後ツッパリ感が残ることもあります。傷跡の安定する3~12ヵ月後には皮膚が伸び、違和感はなくなっていきます。 ・傷痕が肥厚性瘢痕や、ケロイドになるリスクがあります。 ・完全摘出をおこなっても、再発するリスクがあります。
粉瘤の治療費
切除による治療 | 自己負担額 |
---|---|
切開手術 | 2,000円~(3割負担) |
切開排膿手術 | 5,000円~(3割負担) |
切除手術 | 7,000円~18,000円(3割負担) |